北総鉄道50年史
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利用客低迷の中、立ち上がったのが社員一人ひとりでした。「利用客が伸びないなら北総開発鉄道の知名度アップと旅客誘致に乗り出すしかない。自分達で出来る事から始めよう」と、1991(平成3)年に社内横断的な対策委員会を設置し、積極的なPR活動が開始されました。まず社員らが始めたのは、2期線沿線の家庭訪問です。住居地図を片手に、一軒一軒訪問しては都心直通の便利さを伝えるPRチラシを手渡しし、「ぜひ一度乗ってください」と声をかけました。すると「都心直通とは知らなかった」「使ってみようかな」などの反応もあり、少しずつ認知度アップの手ごたえをつかみ始めたのでした。季刊誌「ほくそう」の創刊もPR活動の一つでした。毎回各駅周辺の魅力をリレー形式で紹介していく冊子で、配布先は北総線の各駅のみならず、当社が相互直通運転を行っている京成電鉄、東京都交通局はじめ、新京成電鉄にも協力いただき、各社局の主要駅に設置された広告ラックにも並べてもらえるようにいたしました。記念すべき1991(平成3)年の夏の創刊号で特集したのは北国分駅。巻頭の「ほくそう線の小さな旅」コーナーでは、「徒歩圏の市立考古博物館には珍しいコククジラの化石がある」、「堀之内貝塚に行けば縄文人気分」と、夏休みの自由研究や休日の散策での誘致を狙いました。この季刊誌「ほくそう」の編集は、社内メンバーで構成された編集委員会の手によって行なわれ、散策コースの選定を始め、実踏調査から写真撮影、原稿書きまで全て社員の手作りで行いました。「あの駅の近傍にはこんなお店や立派な神社がある」、「この通りは車の往来が少ないからウォーキングコースには最適」など、季刊誌作成のため、社員自ら沿線地域の街並みや路地をくまなく回って得た情報やノウハウは、1999(平成11)年より始まる当社主催のウォーキングイベント「北総ウォーク」のコース設定にも役立つことにもなりました。また、1992(平成4)年からは、ユニークな企画「あなたのイベントに駅貸します」も始まりました。これは、地元の同好会やサークル活動の発表用に各駅コンコースを無料開放するもので、ただ場所を提供するだけではなく、展示用のイベントボードや主要駅に常設したガラスショーケースも無償で貸し出を行ったのです。すると住民から大反響があり、西白井駅でフラワーアレンジメント展やステンドグラス作品展、千葉ニュータウン中央駅では写真展や児童画展、ミニコンサートなどが次々と開催されました。こうした一連のPR活動には、所属や上司部下も関係ありませんでした。幹部社員も同様に「沿線への遠足を誘致しよう」と、都内小学校160校、千葉ニュータウン内外20校を訪問する営業回りを開始しました。この取り組みは、年々訪問範囲を拡大し801満を持して開業した2期線と都心直通運転だったが、乗客は伸び悩んだ。そのため「まずは北総線を知ってもらおう!」とPRパンフレットを作成し、管理職を含めた社員総動員で沿線各家庭にポスティングした2同パンフレット。駅までのアクセス方法と時刻表を掲載し、北総線の利便性をアピールした3沿線外の人々にも北総沿線の魅力を知ってもらおうと「季刊誌ほくそう」を創刊。現在に至るまで、年4回、途切れることなく発行している平成3年1991–2.あの手この手の 北総線PR大作戦が始動

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