123事に関係した1人、1人がこの鉄道にかけた夢を肌で感じられ、終生忘れえないシーンであった」。その電車が、万感の思いを乗せていま走り出したのです。また、北総開発鉄道にとっては、他社に先駆けた最新鋭の技術も自慢でした。当時珍しかった自動改札機や遠隔制御の精算機です。中でも精算機は開発に1億3,000万円をかけたシステムでした。精算機の内部にはカメラが内蔵されており、乗客が乗車券や定期券を入れると、現在の総合指令所建物内に在った「精算センター」に画像が電送され、係員が画像を確認しながらタッチペン式のコンピュータを使い、遠隔操作で精算や釣銭を返す方式でした。各駅をほぼ無人で運営したことから「全国一機械化された鉄道」「ロボット鉄道」とマスメディアに紹介されました。ただ、開業間もない頃は初めて見る自動改札にとまどい、「どうしたらいいのかしら?」、「あのー、駅員さんは居ないんですか?」と、右往左往する人もいたと当時の新聞は伝えています。このため、改札機の前には自動改札機の使いかたを図で示した案内板を設置するなど、新しいものずくめのニュータウンの足に慣れてもらえるよう様々な対策を実施しました。そうしたハイテク化の一方、鉄道をよく知るベテランの経験も必要と、電車運転士には高齢化社会を先取りして国鉄OBをスカウトし、北総線開業に備え新規採用した20代の新人車掌との親子ほど年の離れたコンビによって電車を動かしていました。ちなみに7000形の前傾窓は国鉄OBの運転士にも「前がよく見える」、「運転台が広い」と好評であったようです。こうして、街も、鉄道も、住民も、新たな時代に向け、共に走り始めたのです。481 メーカーでテスト中のきっぷ交換・精算機(於:富士電機製造)2きっぷ交換・精算機3メーカーでテスト中の精算操作卓(タッチペンで画面を操作)4 当時の小室駅の様子(精算するお客様)5 6精算操作卓の画面
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