孤高の画家がデザインした 北総開発鉄道の社紋北総鉄道の社紋が決定したのは1972(昭和47)年。会社設立に合わせ、およそ50種類の案の中から選ばれたのが左のデザインでした。鉄道会社の社標は伝統的に車輪とレールを用いているものが多く、当社のデザインもその考えを踏襲していますが、新しかったのは、近未来構造物の象徴だったPSコンクリート桁をモチーフとしていることでした。このデザインを手がけたのが、建仁寺の天井画や東大寺の襖絵で知られる日本画家、小泉淳作(1924-2012)です。特定の美術団体に属さず、画壇とも距離を置いた彼は「孤高の画家」とも呼ばれ、リアリズムに徹したその作風は「神が宿る」と評され、今も多くの人を魅了しています。昨今は鉄道車両デザインに建築家や工業デザイナーなど、異業種のプロが参入するケースが増えていますが、北総鉄道の社紋は言わばその先駆けと言えましょう。孤高を貫き、高みを極めた小泉の魂が宿る北総鉄道の社紋は、我々に「鉄道業の高みを極めよ」と訴えかけているように思えます。columnMemories of the 1970's
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