北総鉄道50年史
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153153会社創立50周年を迎えた今の心境は、関係者の皆さまに対する感謝の気持ちで一杯です。ひとくちに「関係者の皆さま」と申し上げても実にたくさんの方々がおられます。会社ができて50年、電車が走り始めて43年。この間、ずっとご利用いただいた、しかも、決して安くない運賃をご負担いただきながらご乗車いただいたお客さまに、まずは感謝申し上げたいと思います。次に、当社はこれまで何度も経営危機に見舞われましたが、その都度、たくさんのご支援を賜りました。順序はさておき、京成電鉄さま、千葉県さま、UR(都市再生機構)さま、鉄道運輸機構さまなど。もちろん、沿線市にも様々な形でご支援いただきました。そして、それらこれはもう「おかげさまで何とかここまで来れました」ということに尽きると思います。それだけ苦難の連続だったということだと思います。この50年を振り返って、と言っても、私が直に経験できたのは高々直近の5年間にすぎませんが、今般の50年史の編纂を通じて改めて見えてきたことは、当社の不幸な生い立ちです。まずはスタートで躓き、その後もとんでもない額の借金を背負いながら、時代に翻弄され続けた「気の毒なくらい可哀そうな」会社だったということでしょうか。通常、会社を立ち上げるとき、明るい前途や展望をもってスタートしますよね。たとえ、当初はかなわなくとも、5年後、10年後の見通しがあれば頑張れるのでの支援体制づくりやそこでの関係者間の調整、支援策の実施をリードしていただいた国土交通省さまにも感謝申し上げます。3番目は、困難な状況にありながらも一貫して安全・安心な鉄道輸送サービスの提供にあたってくれた社員や関係事業者の皆さま。さらには、会社存亡の危機にさらされながら、絶えず前を向き、先頭に立って会社をここまで導いてこられた歴代の経営陣。このような本当に多くの皆さまへの感謝の気持ちを片時も忘れることなく、さらに、これからも、より安全・安心で頼りにされる鉄道会社を目指して、地域の皆さまとともに走り続けなければならないとの覚悟を新たにしております。すが、当社の場合、その絵姿が描けませんでした。運賃収入だけが頼りの会社にとって、頼みのニュータウンへの入居が予想をはるかに下回り、一方、巨額の建設コストの償還と高い利払いだけは確実に求められる。この、入りと出の構図は、繰り返し経営危機をもたらし、併せて、高運賃問題の根源的な元凶でもありました。もちろん、その宿痾とも言うべき事業構造の中で、なす術もなく嘆いてばかりいたわけではありません。それどころか、安全・安心な輸送サービスに徹することは当然として(開業以来、有責事故は一件も発生させていません)、増収と合理化・効率化に絶えず挑戦し続け、自律的な経営を目指した奮闘努力の50年でもありました。50年間を振り返って思うこと  その1社長インタビュー(2022年2月1日実施)今の心境 ― 関係者の皆さまへの感謝と覚悟

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