北総鉄道50年史
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2021(令和3)年3月17日、北総線大町駅。その光景は、当社が待ちに待ったものでした。この日の大町駅のエレベーター完成をもって、北総線全14駅の“バリアフリー化”が完了したのです。2000年代以降、少しずつ各駅のバリアフリー化を進めてきた北総線にあって、大町駅が最後に残ったのには理由がありました。国は1日の乗降客数が3,000人以上の駅を優先してバリアフリー化を進める中、大町駅の乗降客は1日1,600人前後で、補助金を受けられる見通しが立たない状況でした。一方で同駅のバリアフリー化にかかる費用は、エレベーター2基と多機能トイレを含めおよそ2億円を要し、厳しい経営状況下にある当社が全額拠出することは困難でした。当社では、これまでも「北総線で最後の駅なので何とか補助を」と、国や市川市に働きかけを行っていたところ、2019(令和元)年度になって市川市から6,600万円、国から6,000万円の補助を得たのでした。かくして総工費1億9,700万円をかけ、エレベーター2基と多機能トイレが実現したのです。大町駅は、市川市動植物園を含む大町レクレーションゾーンや、梨畑が広がる「大町梨街道」への最寄り駅であり、これらの人気スポットを訪れる子育て世代にとっても利便性の高い駅に変貌を遂げたのでした。全駅のバリアフリー化実現を受けて、技術部長の星野康弘氏は「多くの人の努力やご支援のおかげ。苦しい時期が続き、昔はやりたくてもできない工事がたくさんあった。その一つがバリアフリー化だった」と語ります。今や全国どの駅でもバリアフリー化は当たり前になりつつありますが、経営難が続いた北総鉄道にとっては容易なことではありませんでした。増収対策に奔走した先人達の不断の努力があって実現した事実と、国や自治体のご支援があったことを胸に留めなければなりません。14211大町駅エレベーター多機能トイレ完成記念カード2大町駅エレベータ―工事が完成し全駅バリアフリー化達成 (令和3年3月17日)3どなたでもご利用いただける多機能トイレ2021–令和3年2.国や自治体の支援を得て 北総線全駅のバリアフリー化を完了

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