北総鉄道50年史
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1342010(平成22)年7月の成田スカイアクセス線開業による経済効果は、徐々に沿線に現れ始めていました。都心や羽田、成田の両空港へのアクセスのよさから千葉ニュータウンへの転入者が増え、2018(平成30)年5月、印西市の人口が10万人を突破したのはその一例でした。印西市では1960年代にニュータウンへの入居が始まり、1992(平成4)年にようやく5万人に到達したことを考えれば、まさに驚異的な急成長です。印西市が発展した要因は、ベッドタウンとしてだけではありませんでした。地盤が強固で地震に強く、大消費地の東京や成田空港にも近いことから、インターネット時代に不可欠なデータセンター(以下、DC)の集積地としても発展して行ったのです。米Amazon社のDCも市内3箇所に誕生し、米Google社も同エリアにDC建設を進めるなど、DC銀座として世界のIT業界に「INZAI」の名を轟かせ、それに伴う雇用や鉄道利用者の増加も期待されるのでした。奇しくも北総鉄道が開業から40年を迎えてようとしていたのは、ちょうどその頃です。記念すべき節目ではありましたが、一方でその40年間の歳月は、当社施設のほころびをもたらし始めてもいました。高架橋の耐震補強は無事完了したものの、高架の壁やトンネルの老朽化も徐々に進んでいたのです。施設を日常点検している者からは「このままだと高架橋のコンクリートが劣化・剝離し、道路を走行中の車に当たると危ない」など、早急な補修の必要性を指摘する箇所も多くなって来ました。未だ厳しい経営状況が続く中ではありましたが、当社は間もなく迎える開業40周年を機に、これら劣化や傷1リフレッシュ工事ではレール交換も行われた2 リフレッシュ工事中の矢切駅3リフレッシュ工事中の江戸川橋梁んだ部分について、2017(平成29)年より概ね5か年計画で集中的に修繕する「リフレッシュ工事」の実施を決断し、直ちに実行に着手したのです。経年劣化により黒皮や粉塵などの付着物が付いた壁には下地処理を行い、新たに塗装を施しました。トンネル内では終電後の深夜に足場を組み、漏水やコンクリート劣化による剥落対策、クラック対策なども行うなど、これまで余り手がかけられなかった部分についても補修が進み、北総線の諸施設は、徐々に開業当時の輝きを取り戻して行きました。リフレッシュ工事は、旅客サービス面の改善にも及びます。2019(令和元)年には当社主要駅の一つである新鎌ヶ谷駅のリニューアル工事にも着手しました。リニューアルに際しては、「北総線利用者以外の人々も集える場所にしたい」「乗り換える時にひと休みできる場所にしたい」と、社員からも様々なアイデアが出ました。新鎌ヶ谷駅は、これまで新京成電鉄との共同使用駅として新京成線の改札業務も当社が行っていましたが、同線の高架化によって改札口が分離されました。これにより、当社駅内にあった新京成線の自動改札機が撤去されスペースが空き「(そのスペースを活かして)憩える場所を作ろう」との機運が盛り上がったのでした。2017–平成29年6.沿線に発展の兆し。印西市の人口が10万人を突破 開業40年を機に鉄道施設のリフレッシュ工事を推進

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