1322014(平成26)年6月、金子社長の後を受け、平田憲一郎氏が当社第12代社長に就任しました。氏は就任の挨拶で「第一に目指すのは、安全・安心の徹底した追求」、「いかなる時もお客様を安全に輸送する。これが鉄道事業者の社会的存在意義」と語り、高架橋の耐震補強や老朽設備の更新、地震や台風、大雪などの異常気象対策にも力を入れる方針を示しました。平田社長はかつて国交省・鉄道局長在任中、JR福知山線や羽越線の脱線事故後の対応にあたったほか、新潟県中越地震を踏まえ、新幹線の耐震補強を1年前倒しで実施させるなど、「鉄道の安全」に対し強い思いを持った方でありました。耐震補強工事については、当社も震災前より駅部や主要道路との交差部については実施していましたが、東日本大震災を受け、高架橋等、鉄道構造物の耐震基準がより強化されたこともあり、先の震災を乗り越えた当社鉄道施設も、更なる安全性を高める対応が必要でした。しかしながら、新たに補強すべき箇所は、高架橋脚だけでも、北総全線、千葉ニュータウン鉄道区間も合わせておよそ1,500本以上もあり、厳しい経営状況下では耐震工事にまわせる毎年の予算も限られ、対象全ての補強工事が完了するには十数年以上先までかかるとの見込みでした。こうした中、震災後の国土強靭化対策の下、国の補助制度が整備されたこともあり、当社は県や沿線自治体の協力も得て高架橋の耐震補強工事を推し進めることとなりました。耐震補強工事の補助制度は、事業費の1/3ずつを国、県市、事業者が負担するというもので、当社線高架橋の耐震補強工事計画は、3か年(2015(平成27)年度~2017(平成29)年度)でおよそ1,500本の高架橋のほか約50か所の橋梁部の補強を行うという、総工費約38.5億円の大プロジェクトでした。費用については、国と県始め沿線市にもご協力いただくのですが、北総線は、高架や地下区間始め掘割構造など様々な路線構造があり、沿線市の中には、市域に耐震補強すべき高架や橋梁区間が殆ど無いという市もありました。このため、補助金負担の配分など調整すべき課題も多くありましたが、当時の伊澤史夫・白井市長の取り纏めへのご尽力もあり、自治体間の調整が整い本工事は始まったのです。工事は計画通りに2018(平成30)年3月末までに完成し、やがて来るであろう南海トラフ地震や首都直下型の大地震でも十分耐え得る、より安全・安心な北総線となったのです。1耐震補強工事が完了した橋脚(新鎌ヶ谷駅付近)2耐震補強工事中の矢切駅3職場視察中の平田憲一郎社長(運転区)2014–平成26年5.より安全・安心な北総線を 目指し高架橋耐震補強工事を実施
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