北総鉄道50年史
124/216

2010(平成22)年7月17日、待望の成田スカイアクセス線が開業。これにより、京成の特急スカイライナーが北総線を経由し、京成上野駅と空港第1ターミナル直結の成田空港駅間を最短44分、日暮里と空港第2ビル駅間も最短36分で結び、都心と成田空港のアクセス時間が従来より大幅に短縮されました。これと同時に、北総線内主要4駅(印旛日本医大駅・千葉ニュータウン中央駅・新鎌ヶ谷駅・東松戸駅)に停車する京成電鉄による特急料金不要のアクセス特急の運転も開始されました。成田スカイアクセス線の開業により、当社も一大変革期を迎えました。これまで開業以来の当社使命「都心と千葉ニュータウンを結ぶ通勤・通学の足」に、「都心と成田・羽田の両空港を結ぶ空港アクセスの一翼の担い手」としての使命が新たに追加されたのです。千葉ニュータウンにも転機が訪れていました。入居開始から30年を過ぎ、この地で生まれ育った第二世代のニュータウン離れが続いていたのです。平均家族規模は、2000(平成12)年から2010(平成22)年の10年間で3.17人から2.75人へと減少しており、老夫婦のみの世帯が増えつつありました。高齢化により外出機会が減れば、北総鉄道の運賃収入減も避けられません。そんな中、ニュータウンの新規入居の促進や、沿線の活性化に期待が持てる成田スカイアクセス線の開業は、当時、駅前タワーマンション計画の中止や、マンション建設工事が途中でストップするなど、2008(平成20)年に発生した「リーマンショック」による景気後退の影響まだ冷めやらない千葉ニュータウンや当社にとってまさに“干天の慈雨”でした。千葉県や都市機構も沿線活性化に向けた機運を盛り上げるべく、ニュータウン地域を「成田-東京SKYGATEシティ」と銘打ちキャンペーンを展開するなど、成田スカイアクセス線の開業を期に北総沿線の開発が再び動き出したのです。一方で、当社はスカイアクセス線開業日の2010(平成22)年7月17日、平均4.6%の運賃値下げを実施しました。これは、千葉県の要請によるものでしたが、当社は未だ独自で運賃値下げが出来る経営状況には無く、京成電鉄始め、関係各機関とも慎重に協議を重ねた結果、県提案「値下げ原資として沿線自治体が補助金を拠出する一方、鉄道側も一定額の拠出を行う」を受け入れたのでした。これにより、向こう5年間、通勤定期は1.1%、通学定期は25%、普通運賃は4.9%の値下げが図られることとなり、値下げに必要な原資年6億円は、沿線市の補助金と、当社の自助努力および成田スカイアクセス線開業により新たに発生する旅客収入の一部で折半することで、県、沿線自治体および京成電鉄と当社との間で1221平成22年7月17日成田スカイアクセス線が開業。北総線は成田空港への重要なアクセス路線として成長した。写真は東松戸駅で行われた開業・アクセス特急停車記念式典2千葉ニュータウン中央駅前では開業記念フェスタを開催3成田スカイアクセス線の利用促進のため精力的にPR活動を実施した 平成22年8月25日(イオンタウン越谷レイクタウン)2010–平成22年1.新たな使命が加わった成田スカイアクセスの 開業と平均4.6%の運賃値下げの実施

元のページ  ../index.html#124

このブックを見る