北総鉄道50年史
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印旛日本医大駅の開業をもって千葉ニュータウン全ての地域が鉄道で結ばれ、当社の使命である千葉ニュータウンと都心を結ぶ路線が完成するとともに、この2000(平成12)年度には、もう一つ当社にとってエポックメーキングな出来事がありました。それは、鉄道営業開始から22年目にして初めて税引後の最終利益を計上(4億1千万円)し、黒字決算となったことです。千葉ニュータウンの入居者が徐々に増えてきたことに加え、社を挙げたPR作戦や経費削減への取り組みはもとより、関係各機関による多大な支援、そして何よりも「日本一高い運賃」と言われながらも、これまで北総線を利用し続けて頂いたすべてのお客様の支えのおかげでした。厳密には、鉄道開業前の草創期、不動産売却で黒字になったことはあるものの、鉄道事業での黒字達成は、鉄道開業から四半世紀近くを経て初めての事です。とはいえ、ここに至るまでに積み上げた累積損失は447億円。これから資本金を差し引いた債務超過額は198億円にも上るほか、鉄建公団への債務を始め、巨額の有利子負債を抱える現状には変わりはありません。厳しい見方をすれば、単に「出血が止まっただけ」であり、到底手放しで喜べるような状況でないのも事実でありました。当時の新聞取材に対し、小江淑・取締役は「(今後も)自助努力は最大限行うが、ニュータウンの人口が増えなければ、県も含めた関係者に追加の支援要請も考えざるを得ない」と語り、千葉ニュータウンの開発主体である千葉県や都市公団の入居促進努力にも期待をかけるのでした。かくして当社は、経営再建への長い道のりの一里塚、単年度黒字達成まではようやく辿り着きました。再びの赤字転落など無きよう、今後も安全・安心な輸送サービスを提供し続ける事を誓いながら、北総電車は新たな世紀に向かって走り続けるのでした。10221単年度初の黒字を伝える新聞記事(2001年7月20日付 千葉日報)2共通乗車カードシステム「パスネット」(ほくそうパッスル)導入(平成12年10月14日)2000–平成12年11.鉄道開業22年目にして 初の単年度黒字達成

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