ほくそう 2019 autumn
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1952年東京都生まれ。20代前半までを江戸川区北小岩で過ごす。中央大学大学院文学研究科修了。86年に『ルドルフとイッパイアッテナ』で講談社児童文学賞を受賞してデビュー。88年に続編の『ルドルフともだちひとりだち』で野間児童文芸新人賞。2016年にはアニメ映画化された。シリーズ4巻の累計発行部数は100万部以上。おもな作品に、「ペンギン」シリーズ、「おばけずかん」シリーズ(以上、講談社)、「西遊記」シリーズ(理論社)など。亜細亜大学経営学部教授。ドイツ文学者/児童文学者斉藤 洋 このコーナーの趣旨は、北総線沿線にいる誰かに会いにいって、それについて何か書くということです。今回出かけたのは《ふなばしアンデルセン公園》で、北総線小室駅で下車し、そこから新京成のバスに乗っていってきました。 なにしろ、アンデルセン公園ですから、会いにいくあいてはアンデルセンです。厳密にいえば、デンマーク国内外で初めて複製が許された、高さ2.8メートルのアンデルセン像です。 わたしは公園の北ゲートから入り、岡本太郎の《平和を呼ぶ》像にまずびっくりしましたが、その像と話をしにきたのではありません。そこは黙って通過し、太陽の橋をわたって、アンデルセン、というか、アンデルセン像を目ざしました。けれども、行くてに巨大な風車が見えた瞬間、わたしはその風車のほうに、からだがぐいぐいひきよせられてしまったのです。 風車のそばにいくと、ゴデイ……、と音が聞こえました。 風車が動いた音かと思い、わたしは羽を見あげましたが、まるで動いていません。そして、そのときまた、今度はもっと大きな音、ではなく、声がしました。 「ゴデイ。ゴデイだよ!デンマーク語で、こんにちはといったんだ。わからないのか。教養がないなあ。」 あたりに人はいませんでしたから、しゃべったのは風車にちがいありません。 わたしはしばらく風車と話をしました。風車は、本来、粉ひき用に作られたのに、粉をひいていないことを気にしているようでした。それで、わたしは、 「粉ひきもだいじだけど、風車はオランダの専売特許じゃないってことを日本のみんなに知らせるだけでも、じゅうぶん役に立ってるじゃないか。それに、かっこいいし。」というと、 「タク!」といってました。 うちに帰ってからしらべると、〈タク〉は〈ありがとう〉の意味でした。 それからもうひとつ。風車と会って満足したわたしは、アンデルセンのことはすっかり忘れて、帰ってきてしまいました。粉ひきをしていないことを気にしている風車デンマークをイメージしたテーマパーク。東京ドーム約8個分の広大な園内は5つのゾーンからなり、風車やレストラン、アスレチック、美術館、どうぶつふれあい広場などの施設が多数。ふなばしアンデルセン公園第2回ふなばしアンデルセン公園斉藤洋のおでかけエッセイ住 千葉県船橋市金堀町525番交 北総線「小室駅」から新京成バス「北習志野駅行き」で約15分、 「アンデルセン公園」下車すぐ 「JR船橋駅北口行き」で約15分、「県民の森」下車徒歩5分営 9:30~16:00(季節により異なる)休 月曜(祝日、春・夏・冬休み期間は開園)料 大人900円、高校生(生徒証を提示)600円、 小・中学生200円、幼児(4歳以上)100円☎ 047-457-6627横顔もなかなか。薄曇りの空がよく似合う。ゴデイ。ゴデイだよ!岡本太郎の《平和を呼ぶ》像にびっくり5

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